あなたが寝てる間に (spring 2023)

あなたが寝てる間に 30

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そうして過ごしたゴールデンウィークは天国だった。
朝から晩まで二人でいて、好きなだけ牧野を食べて、その合間に牧野のご飯を食べて、心も体も満たされた。

だけど、その後が良くない。
「しばらくはシない」
なんて牧野は言い出した。

「なんで」
「ちょっと控えようよ。ホントに、あの……でっ、出来ちゃうよ」
「妊娠、いいじゃん。結婚しよ」
俺は何の迷いもなく答えた。
まるっとまとめて俺のモノに出来て、好都合ですらある。

「ダメっ、ダメダメっ!それでなくても玉の輿目当てって言われるに決まってるのに、そんなことになったら、ふしだらな女みたいじゃない」
「いいじゃん、順番なんて。ふしだらな位が丁度いいんじゃないの、牧野は」
放っておくと、牧野はまたよく分かんない男に絡まれるんだ。だから、早く法的にも俺のモノにしてしまいたい。
とはいえ、牧野の言い分が分からない訳でもない。
牧野の性格からして両親に反対されての結婚は嫌がるだろう。

「じゃあ、婚約してくれたらちゃんと避妊する」
「ちょっと!そんなの当たり前でしょっ!!」
「えぇ…じゃあ、やっぱいいや。順番逆で」
「だから!駄目、そんなの!!まだ仕事始めたばっかりなのにっ」
「じゃあ、やっぱりしようよ、婚約。嫌?」
そんなやりとりをして聞くと、牧野は口ごもる。
こういうストレートな押しに弱いんだよ、こいつ。

「嫌っていうか……」
「俺さ、色んなトコで娘とか紹介されるんだよな。取引先に行っても、関係ない女がいたりしてさ」
そこでチラリと牧野を見ると、ちょっとムッとし始めた。

「取引先だからむげにも出来ないしな。そんなことすれば人付き合いが出来てないって評価になるだろ?だから、ヘンな女に触られたりしても我慢してるんだ。でも婚約でもすれば、そんなの減るはずだろ?」
「それは……そうかもね」
「だろ?なのに牧野は嫌なんだ」
「嫌とかじゃなくて、展開早すぎ!ちゃんと付きあってから、まだすぐだし、ご両親にも反対、されるかもだし……」
やっぱり牧野のネックは俺の両親らしい。でも…
「反対、な。されないと思うけど。父親は牧野のこと知ってるし…そうだ、了解取ればいいだろ」
そう、父親は反対って訳じゃない。牧野に会うことにも否定的じゃなかった。
ってか、会わせてくれって言ってたの、今思い出した。

「そんな出前とかデリバリーじゃないんだから、簡単じゃないでしょ」
なんて牧野は言ったけれど、俺は笑って
「大丈夫だから」
と最後には半ば強引に牧野を了承させた。


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